昔々、休日に友人宅で
ムッシュポールボキューズの料理をつくろうと
話が盛り上がり、後日早速集まった。
その日に選んだ料理は
『Rouget en écailles de pomme de terre 』
そう、あの有名なルジェの鱗を
ジャガイモで見立てた料理。
ジャガイモを丁寧に同じ形、同じ厚みでくりぬき、
ルジェの表面に外れないようピタッと貼り付ける。
それを香ばしく焼き上げ、身はふんわりと。
丁寧さなしにはでき得ない料理。
料理自体、学ぶことが多かったのだが、
僕はソースに衝撃を受けた。
こちらの料理のソースはソース・ヴェルモット。
つくってみると、色んなことが衝撃だった。
エシャロット、ヴェルモット、ローズマリー、白胡椒、
オレンジ、フュメドポワソン、生クリーム。
え、そんなにローズマリーを入れても大丈夫!?
など、なんとなく知っていたつもりのそれは
つくっているそばからまさにワクワクドキドキ。
様々なものが重なり交わっていく。
ヴェルモット酒の爽やかさ、甘やかさ
オレンジの元気さと穏やかな酸味
白胡椒の柔らかなスパイス感
フュメ•ド•ポワソンのクリアな旨味と香り
心配だったローズマリーは
絶妙な立ち位置で底に存在する。
これだけ様々な要素の重なりを感じながらも
一体化している。
色合いもなんとも言えない淡さ。
おいしい
本当においしい
なんなんだこのソース。
というかソースとはなんだ。
こんなにも楽しい液体なのか。
自分が生まれる前からこのようなソースがある。
他にもまだまだあるはず。
知りたい。
つくりたい。
食べたい。
食べてほしい。
色んな感情が湧き上がる。
では、このソースのつくり方。
まず、エシャロットをエマンセ。
優しくゆっくりとスュエ。
ヴェルモット酒、オレンジジュース、ローズマリー、
白胡椒を入れ煮詰め、フュメ•ド•ポワソンを加えて
さらに煮詰める。
最後に生クリームを加えて煮詰めてパッセ。
アセゾネし味を決める。
文章にするとそれだけ。
ただこれもまた100人つくって100通りできる。
どのソースも全てそう。
だから楽しい。